(進行/記録: MYZ)
1.日 時:R5(2023).11.23(木) pm1:30~pm3:30
2.場 所:宇部市市民活動センター2階会議室
3.出席者:ASD,ATK,USI,KNK,KTM,SMI,TSM,HYS,MYZ,MYM,MRN(会員11名)
セミナー
テーマ「何故、ユダヤ人は差別された(る)のか?」
~ユダヤ民族の誕生からその民の離散・迫害、そしてイスラエル建国に至るまで~
講師:ASD氏(AYSA 西部部会会員)
概要
①イスラエルの歴史(イスラエル大使館資料より)
ⅰ)聖書時代(バビロニア捕因時代について)、 ⅱ)第二神殿時代、 ⅲ)ローマ支配、 ⅳ)ビザンチン時代、
ⅴ)アラブ征服時代、 ⅵ)十字軍時代、 ⅶ)マルムーク時代、 ⅷ)オスマン帝国時代、 ⅸ)英国統治時代
② 旧約聖書について(ユダヤ人の起源、出エジプト記、モーゼの十戒、出エジプトルート)
③ イスラム教の成立、キリスト教の成立、三宗教はなぜ一つになれない?
④十字軍とは何か?その侵略ルートは? ⑤何故、ユダヤ人は差別されたのか?(何故、ユダヤ人は根絶されねばならなかったのか?) ⑥イスラエル建国について ⑦何故、ユダヤ人は金持ちか? ⑧イスラエル独立と中東戦争について(第1次~4 次)
⑨ガザ地区について ⑩国連分割案と第1次中東戦争後の境界線について(イスラエル独立戦争)
⑪その他補足資料として
ⅰ)時代別、パレスチナのアラブ領土の推移比較、 ⅱ)イスラエルについて(人口、等) ⅲ)イスラエル地域でのユダヤ人とパレスチナ人との推定人口の推移、
ⅳ)世界のユダヤ人口、 ⅴ)地域別ユダヤ人の人口の推移、 ⅵ)イスラエルへの移民数の推移、 ⅶ)イスラエル支配地域でのユダヤ人とパレスチナ人の推定人口の推移、
ⅷ)ヨーロッパにおけるユダヤ観とイスラム観の比較について
(参考書籍:松村 剛著「ユダヤ人」、高橋正男著「物語 イスラエルの歴史」、佐藤賢一著「よくわかる一神教」、他)
感想
今日の、イスラエル・パレスチナ紛争、戦争への歴史的背景、何故イスラエルは強固な姿勢で挑戦し続けるのか?ユダヤの歴史を紐解くとその背景が読み取れる。
会員の皆さんの関心も深く活発な意見交換がなされた。この難問をここまで掘り下げて学習し、会員の皆さんへの理解を共有させていただいたこと。講師に多謝の一言である。※ 映画「十戒」(モーゼ)の記憶が蘇った。
今回のセミナーで改めて人類が積み上げてきた歴史の軋轢を学んだ。私は、ロシアがウクライナ侵攻を始めてから「世界の民族」に興味を覚え、山中俊之著「世界の民族」を読んだ。この書籍は、深化するグローバル化で深まる対立軸を「民族」の視点から指摘している。今日起きている世界の問題のほとんどは「民族の問題」と何らかの関係がある。「紛争」「グルーバルビジネスの軋轢」「格差」「人種差別」「ナショナリズムの台頭」「国家間の緊張関係からくる経済摩擦」等。文化が違う、言葉が違う、宗教が違う、それでもお互いを認め合う。折り合いをつける。人類の最大の課題であると。相手の文化や価値観を理解し、その立場に共感できるかが、問題解決のカギとなる。しかし、民族意識に過敏になりすぎては本質を失う。マイノリティへの理解、そしてダイバシティと「羹に懲りて、膾を吹く」という諺があるらしい。ドラッカーは「未来は過去の延長線上にある」と言っている。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と、改めて人類は重き荷を背負いつつ、そこに新しい知恵を発見しながら生き延びていくのだろう。学べば学ぶほど難しい問題だ!(MYZ)
今回のASDさんのセミナーは、ユダヤ、キリスト、イスラムのそれぞれの立場に偏ることなく、旧約聖書の時代から現代に至るまでの歴史を俯瞰した、大変貴重な内容であったと思います。MIZさんは映画「十戒」を思い出したとコメントされていますが、私は二つの映画を思い出しました。一つは「アラビアのロレンス」です。オスマントルコからのアラブ独立闘争へのロレンスの係わりを描いたこの映画は、皆さんの記憶に残っていると思います。民族独立の願いにイギリス人将校としてのめり込んでいったロレンスの活躍は、西欧社会から見たアラブの姿を描いていますが、イスラム世界の内情に深くは踏み込んでいないものの、イスラムを理解する一つの手掛かりにはなったと帰国しています。
もう一つの映画は、それほど有名ではなく、多分AYSAメンバーの方々は知らないと思いますので、少しその概要を説明しましょう。時は第二次大戦後のイスラエル建国の直前の時代です。ヒロインはナチスの人体実験を受けて生き延びた若いユダヤの女性です。終戦後のオランダでナチスの残党から生きた人体実験経験者を抹殺しようと狙われていた彼女は、地下組織の紹介で探偵に紹介されます。探偵は彼女をイスラエルの地まで送り届けるよう依頼されます。オランダの運河をボートで逃避行する二人と、人体実験の恐怖がフラッシュバックされる映像が重なり合って、物語は進行していきます。逃避行の細かい部分は記憶に残っていませんが、最後に二人はボートでイスラエルの海岸にたどり着きます。突然砂丘の上から現れた戦車が、海岸に降りてきて彼女を戦車の上に乗せ、イスラエルの国旗をはためかせて砂丘の向こうに消えて行きます。残された探偵はじっとそれを見つめてTHE END となります。
半世紀も前に観た映画ですが、タイトルは「Detective」(刑事ではなく探偵の意味)だったと帰国しています。この映画はユダヤ人の建国にかける熱意と、その苦労を描いていますが、物事には必ず複数の見方があり、どの側面にハイライトを当てるかで、人々に言わんとすることが分かれてくる良い例であると思います。
今回のガザの混乱も、人道的な側面は大事だと思いますが、多面的な物事の見方とそれぞれの人の判断が試されることになると思います。 (USI)