1. プロジェクトの目的
▲現在焼却されている生ゴミを堆肥として、圃場に戻すことにより生ゴミリサイクルを実現し、食料資源循環を達成する。
▲生ゴミの堆肥化にて、食料資源循環を実現し、食料資源の持続を可能にする。(りんは、肥料に不可欠で、原料のリン鉱石の産出は中国などに偏る。中国は国内供給を優先して輸出を絞り肥料用りんの価格は高騰しています。
ドイツやスイスでは、りんを調達リスクの高い重要資源に位置づけ、今後10年をめどに全ての下水処理場からりんの回収を義務付けています。
このような状況下で、日本でも日立造船やクボタは、ブタや人の糞から、りんを回収する方法を確立し、輸入リン鉱石より安価にりん肥料を製造することに成功しています)
▲生ゴミの焼却に伴う温暖化ガスの排出を削減し、地球温暖化防止に貢献する。
▲自治体の大きな課題である生ゴミ処理費用を削減する。
2. 堆肥とは
▲生ゴミ、家畜排泄物、食品・食品工場残渣その他の有機物をコントロールされた方法で堆積又は攪拌し腐熟した有機物資材であり、腐熟の過程で発生する熱により微生物的に安定化し、植物の生育並びに土壌の改良に有効で、取り扱い容易になるように加工されたもの。
3. 堆肥化の原理
▲堆肥化とは、有機物を堆積し、又は攪拌、通気して好気性状態とし、原料中の有機物が微生物により分解され、この分解により発生する熱により、水分は蒸発し、病原菌や寄生虫卵や雑草種子等が死滅あるいは不活性化して、安全で衛生的かつ安定化したものとすることである。有機物の分解の過程は、易分解性有機物が主として分解する一次醗酵と可分解性有機物の分解と腐植化が進行する二次醗酵に分かれる。
4.私達が提案する堆肥化プロセス
5. 主 原 料
▲生ゴミ(食品残渣に限定するか、有機性廃棄物全てとするか)
種類によりC/Nが異なり、堆肥化速度を左右するので注意が必要。
▲水分、形状、C/N比、により堆肥化速度が大きく影響するので良く考える必要がある。C/N=40以下が好ましいといわれている。
▲牛糞、鶏糞も対象とするか検討が必要。
▲宇部市 令和元年 ゴミ焼却量 53,074トン
内約50% 26,537トンが生ゴミといわれている。
▲いずれにしても堆肥原料として好ましい生ゴミを分別する必要があり、排出者の協力が欠かせない。
6.副 原 料
▲籾殻、おがくず、バーク、剪定枝、間伐材、落ち葉、竹チップなどが考えられる(水分が少なく、空気を多く含む植物性物質)。
▲いずれも通気性を高め、含水率を落とすのに有効。
▲いずれもC/N比が高く、分解に時間を要し、醗酵に時間がかかる物質です。
▲出来れば戻し堆肥で対応し、副原料は使用したくない。
副原料を使うことによりC/Nが高まり、堆肥化速度が低下し、堆肥化に時間がかかり、一次醗酵槽の容量が大きくなる。
7.前 処 理 工 程
▲非分解性の金属類、ガラス、無機物、プラスチック類は選別除去しておくことが重要。
▲また堆肥成分として好ましくない重金属も混入を避けなければならない。
▲間伐材、剪定枝などは、10~30mmの大きさに破砕する必要がある。
▲一次醗酵槽で、主原料、副原料、戻し堆肥が十分に混合する必要がある。
8.一 次 醗 酵 工 程
▲堆肥化速度に関する基本データー(要素と水準と速度)は、ラボにて確認する。
▲微生物は、戻し堆肥で供給する。
▲水分量の調節は、副原料と戻し堆肥で調節する。
▲微生物による分解熱にて70℃を確保する。
▲温度、臭気、物性をモニタリングし、副原料(C/N比)、戻し堆肥量でコントロールする。
▲48時間で堆肥化が完了することを目標に条件を開発し確立する。
▲醗酵温度70℃が安定的に維持できる条件を確立する。
▲外観形状も重要。塊状化を防止する内部構造を開発する。
▲最適微生物も確認する。(ラボ装置にて)
▲堆肥化槽の容量を小さくするため堆肥化速度のUP、副原料比の低下が重要となる。
目標としては、副原料を使わずに、戻し堆肥で賄うことが好ましい。
9.二 次 醗 酵 工 程
▲通常堆肥舎に堆積し、適切に切り返す方法で行われる。
腐熟度にもよるが1日数回の切り返しが必要。
▲二次醗酵工程の必要性を確認する。
▲自然発火等に注意が必要。
10.製品化工程/パッケージ
▲20kg/40kg袋詰め、500/1,000 kgコンテナ、バルクを考える。
▲取り扱い方法、施肥方法を考慮して、包装形態を考える。
11.品 質 管 理
▲品質管理 ⇒
①品質基準と工程管理基準を策定する。
②工程管理記録と品質検査記録を収集
③両者の適合性を管理する。
▲品質改善 ⇒
①工程管理記録、品質検査記録、顧客要望、顧客クレーム、ステークホルダーの意見、要望。関連法令規制の収集
⇒分析⇒改善・是正⇒有効性確認
▲品質保証 ⇒
①文書・記録の保存
・顧客との契約内容確認文書(仕様書)の保管
・工程管理基準と工程管理記録及び遵守記録の保管
・品質基準と製品検査記録及び適合性記録の保管
・顧客クレーム是正記録の保管
・工程管理・製品検査不適合の是正記録の保管
②原材料から出荷先までのトレーサビリティ記録の保管
12.マ ー ケ テ ィ ン グ
▲県内農業法人
▲JA
▲ホームセンター
▲農業資材販売店(みかさ他)
▲個人農家
13.コスト/収益性評価
最低目標として、焼却費用21,945円/トンと同等で堆肥化することが出来ればSDGsへの貢献相当の事業意義(効果)が期待できる。
▲最低目標堆肥化コスト 21,000円/トン(生ゴミ)とする。
*別に堆肥販売収益として、15,000円/トン相当の収益が期待できる。(牛糞並み)
*ガス化燃焼方式に比較し初期投資(減価償却費)は相当低額になることが期待できる。
14.事業評価(ESG適合性)
E(環境)
①地球温暖化ガス排出量の削減に貢献
S(社会課題解決)
①焼却ゴミ削減、焼却経費削減
②食の資源循環に貢献(りん肥料資源の自給率向上)
G(ガバナンス)
①企業規範の遵守
②情報公開
③国連の目標SDGs達成への貢献
【2】飢餓をゼロに⇒食の資源循環
【11】住み続けられるまちづくり⇒生ゴミ削減、処理経費削減
【12】つくる責任、つかう責任⇒食品残渣、食品工場残渣
【13】気候変動に具体的対策を⇒炭酸ガス排出量削減
15.考 察
▲最大の課題は、堆肥化速度が遅く、堆肥化槽の容量が大きくなること。
▲本プラントのイメージ
①宇部市ゴミ焼却量;53、074トン/年
②生ゴミ量=53,074×0.5=26,500トン/年、(焼却ゴミの50%が生ゴミとして)1日あたり生ゴミ処理量 26,500トン/330日=80.3トン/日③堆肥化槽充填率50%
④堆肥化所要時間 2日
⑤堆肥化槽容量 80.3トン×2日×2=320トン
⑥直径=3m 長さ=45m ⇒ 径3m×長さ10mロータリーキルン×5本が必要となる。(副原料、戻し堆肥なしとして)
▲初期投資を抑えるため、堆肥化槽の容量を小さくする必要がある、そのため堆肥化速度を最大にするための開発が重要である。
そのためには
①ラボによる堆肥化速度を最大にするための技術開発が最も重要。
②その過程で、副原料の量を削減し、C/Nを小さくすることが重要このことが肥料成分の含有率を高め、製品価格を高める)
③堆肥化速度の遅い副原料を使わずに、戻し堆肥を活用することが重要。
④堆肥化工程の方向性
・可能な限り生ゴミの比率を高める
・副原料の比率を可能な限り下げ、戻し堆肥を利用する。
・このことにより堆肥化速度を高めると共に、製品堆肥中の肥料成分(N・P・K)の含率を高め製品価値を高める事となる。
▲堆肥化工場の設置場所現在は、生ゴミ発生地域に近い沿岸地域への設置が比較的多い。
今後は堆肥消費に近い農村地域へも分散設置し物流経費を削減する。
16.プロジェクト参加者/団体の募集
▲①趣旨、有効性を理解・評価し、賛同し、協働する覚悟のある人・団体
▲②リスクをチャンスと捉え、果敢に挑戦する人、企業・団体
▲③資金、マンパワー、知識・経験・技術 で協力できる人・団体。