山口市仁保地区の読書会

2024-6-26(AYSA西部部会会員 USI)

嘉村 磯多

「臨床心理学教室のパンプキンさん」の読者から、時々読書感想文が届きます。先日、山口市のO氏から手紙をいただき、その後何度かメールのやりとりをしている間に、山口市仁保地区の読書会のことを知りました。どんな読書会なのか訪ねましたら、次回(6月15日)は葛西善蔵の「酔狂者の獨白」を読むと言うことなので、飛び入り参加でお願いすることとしました。読書会の経緯も何も知らずに、取りあえず文庫本の葛西善蔵著「哀しき父・椎の若葉」を入手して、出席しました。

当日参加者は11名(内女性が6名)で、どちらかというと年配の方が多かったです。皆さん、前回に割り当てられた部分を、順次朗読して終わると意見交換を行いながら、一巡したところで最後の総括意見交換が行われました。

その後の情報交換から、なぜ仁保地区でこの読書会が15年間も続けられているのかが、少しずつ分かってきました。山口県吉敷郡仁保村出身の大正時代の作家嘉村磯多(かむらいそた)(1897-1933)は、私小説作家として投じた開票かを得たそうです。葛西善蔵に強く影響され。『途上』で分断に地位を確立するも若くして病没したそうです。仁保地区では彼の顕彰の意味も含めて、地元の人たちを中心に「嘉村磯多を読む会」が続けられています。

私は上述のような状況も知らずに飛び入り参加したので、最後に葛西善蔵の「酔狂者の獨白」を読んだ感想を求められましたが、次のような感想を述べました。

「作者の酒は、色々悩みがあるにしてもあまり楽しい酒ではない。私はもっと陽気な酒飲みで、若いときから飲むだけ飲んできました。最近はもうあまり酒を飲めなくなりましたが、適量の酒を楽しく飲むようにしています。」(感想にも何もなっていないようなコメントでした)

嘉村磯多は太宰や芥川と同時期の作者と思われますが、彼らと同じ程度の文学的評価を得られていないにしても、地元の人たちが今も作品を読みついていることに感動を覚えました。

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